連載28 故・久保議員は「官製談合防止法」成立に尽力


 
故・久保議員は「官製談合防止法」成立に尽力
 
 

 
 
相次ぐ知事の逮捕…衆院で改正案可決も「喜ばしくなく」
 
 知事の逮捕が続いている。県が発注する公共工事をめぐる談合事件で、福島、和歌山両県が摘発された。そして現在、宮崎県でも談合事件の捜査が進行中だ。
 
 業者間の談合は昔からいわれていた。だが、悪質なのは発注する自治体のトップが、談合に手を貸す今回のような「官製談合」だ。
 
 先月30日の衆院本会議。与党提案の官製談合防止法の改正案が可決、参院に送付された。談合に関与した公務員に罰則を科した改正案は、今国会で成立する見込みだ。
 
 官製談合防止法というと、平成5年に同期当選した公明党の故・久保哲司衆院議員を思いだす。
 
 公明党は13年2月、同法案の骨子をまとめた。それは公正取引委員会の権限を大幅に強化する内容で、公取委が談合を探知した場合、大臣や首長に改善措置を要求できると規定した。
 
 翌月、与党内に同法のプロジェクトチーム(PT)が発足し、久保さんは党のPT座長として同法成立に向け汗を流した。だが道のりは楽なものではなかった。
 
 最初は自民党も消極的だったからだ。公明党案をたたき台に18回にわたる議論を重ね、自民党を説得。1年3カ月後の14年6月、ようやく法案を国会に提出した。その後も「自民党内には異論があり、成立は厳しい状況」(同年7月4日、毎日新聞)だったが、久保さんは粘り強く交渉し、同月24日に同法は成立した。だが、久保さんは翌年6月、病のため還らぬ人となってしまった。
 
 今年に入り、防衛施設庁の発注工事をめぐる談合を皮切りに官製談合事件が相次いだ。そこで公明党はPTを再スタートし、法改正に動いた。
 
 今回の改正の柱は、談合に関与した公務員らに対し、「5年以下の懲役または250万円以下の罰金」の罰則規定を創設したこと。与党の改正案に対し、民主党の改正案は罰則規定が「懲役3年」のみで罰金刑は削除されていた。衆院の採決では、共産党も与党案の賛成にまわった。
 
 久保さんは生前、「この法律ができたこと自体、決して喜ばしくもなく、褒められたことでもない」と語っていた。今回の法改正の採決で、その言葉がよみがえった。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成18年12月5日付 夕刊フジより転載)
 
 


2017年02月20日