小沢氏の権力ゲームもう終息させるべき
また新しい首相の誕生だ。
小泉首相の退陣以降、5年で6人目となる。前半の3人は自公政権。後半の3人は民主党政権の交代となる。前半の3人は、連立を組んでいた公明党も大きな責任を負っている。
この首相が1年で交代する状況について、日本の政治の劣化を指摘する論評は多い。一方で日本は課題が山積している。東日本大震災の復興、原発事故の対応と今後のエネルギー政策、円高とデフレ経済、社会保障と財政の再建…。今の日本は政権与党である民主党内の争いをしている余裕はない。ここは新たに首相に就任する野田民主党代表がどのような対応するのか注目していきたい。
今回の民主党の代表選は5人の候補者の中から、得票1位、2位の海江田氏と野田氏の決選投票に。海江田氏は1回目の投票から34票上積みしたのに、野田氏は1回目と比べ113票増となった。2位以下の連合が1位を破ったという構図だが、2回目に野田氏に投票した議員の心理は「小沢傀儡」に対する反発ではないか。要は小沢元代表が敗れたということだろう。
昨年秋の代表選は「親小沢」対「脱小沢」の戦いで、小沢氏本人が出馬して敗れた。その後、政治資金規正法違反事件で強制起訴された小沢氏は党員資格も停止され。今回も投票権のない小沢氏の動向が注目されるというおかしな代表選だった。
短期間の代表選で、マスコミも政策よりも小沢グループの動向をかなりの分量で報道していた。
昨年の秋に続いて敗れた小沢Gだが、新しい首相にどう対処していくのか。20年にわたる小沢氏の権力ゲームは、このあたりで終息させたらどうだろうか。
一方、野田氏は、この2年間の政権運営について、明確に総括をしてスタートを切らなければ、ねじれ国会で野党との協議も進めることは難しい。
政権交代してからの民主党をみていると、マニフェストにしばられて、場あたり的な対応が目立っていた。
3党合意でようやくマニフェスト見直しに言及したが、まだ民主党内には火種が残っているように思える。特に選挙基盤の弱い議員ほど、マニフェストの見直しは次の選挙の当落に直結する。
だが、できないものをできると約束して政権をとったのだから、責任はとらねばならない。新首相はその責任を果たす意味でも、復興の第3次補正予算を仕上げたら国民に信を問わねばならない。
(平成23年8月31日付 「夕刊フジ」より転載)