政治の世界も柔軟性を
ちょっと譲れば…
子育ては大変。そう思っている読者も多いのではないか。経済的負担はもちろんだが、親として子どもたちに何を伝えていくか。
かくいう私も高3の長男、高1の長女、小5の次男の3人の子を持つ親だ。
3人が小さいころ、「だってお兄ちゃんが…」と、口をとがらせて兄弟げんかの理由を言う妹と弟。
そんな時、私は「今怒らずに、一晩我慢しろ。明日の朝、起きてから、それでも頭にきてたら真剣にけんかしなさい」。一晩寝て、翌朝まで怒りの収まらないことなど、ほとんどない。
「ちょっと譲りなさい。我を張らずに、互いがちょっと引くだけで、話はまとまる」。この事もけんかの時によく言った。子どもたちは柔軟性がある。どんな子でもスポンジのように知識や知恵を吸収し、応用するようになる。
ところが大人になると、どうも頭が硬直化してくるようだ。その典型が最近の政治の世界だ。2008年度の予算は先月28日に成立した。しかし、その財源を規定する歳入法案は、参議院で1ヶ月、審議されず、年度をまたいでしまった。
ガソリン税の暫定税率は、4月1日に失効。ガソリンの値下げはユーザーに歓迎されているようだが、2兆6000億円の歳入欠陥が生まれる。地方自治体でも道路予算の執行を凍結し、混乱が出始めている。疲弊している地方経済にも悪影響を与えかねない。
先月27日、福田首相は「道路特定財源の09年度からの一般財源化」を含む修正協議の提案をした。しかし、民主党は協議に乗ろうとしない。
民主党の小沢代表は、この問題で福田内閣を追い込み、解散総選挙へ持ち込むという“政局”を優先しているようだ。しかし、2兆6000億円の歳入欠陥はどうするのだろう。
先週末から小沢代表はテレビ出演をして、民主党の考えを訴えている。テレビで語るより、メーンの舞台の国会で話し合いをしたらどうか。「互いがちょっと譲れば」、国民にとってプラスの合意はできるはずだ。
そういえば3日の衆院本会議。在日米軍駐留経費に関する特別協定の採決で、小沢代表はまた欠席した。子どもたちは学校を安易には欠席しないものだが…。
(平成20年4月9日付 夕刊フジより転載)