連載39 財政もメタボにならないように


 
 
財政もメタボにならないように
 
 
 
 
 「はい、おなかを引っ込めないように!」
 
 メジャーを持った看護師さんにピシッと言われた。GW明けに衆議院の診療所で行われた健康診断の一コマ。今年からメタボリック症候群の検査の一環で、ウエストまわりを計測するようになった。「誰が85センチなんて基準を考えたんだ」と心の中でつぶやきながら、言われた通りおなかの力を抜いた。
 
 第一生命保険が毎年行っている「サラリーマン川柳コンクール」。先日発表されたベスト10の中にも“メタボ”関係が入っていた。
 
 「脳トレを やるなら先に 脂肪トレ」
 
 「たまったなぁ お金じゃなくて 体脂肪」
 
 私も20歳代、30歳代のころはウエストなんて気にしなかった。しかし、40歳代に突入してからは、おなかのまわりに肉が付くわ、付くわ。「これじゃいかん」と決意するが、気持ちとはウラ腹に脂肪がついてくる。
 
 サラリーマン諸氏も気にしている人も多いのではないか。
 
 「身体に服を合わせるのではなくて、服に身体を合わせないとね」と、妻が私に向かってよく言う。太った身体に合わせて服を買い替えるのは不経済。健康面からみても、身体のためには服に合わせてダイエットした方がよい。
 
「骨太の方針」で黒字化を宣言し、やっと歳出削減
 
 わが国の財政も、この「服」と「身体」の関係に似ている。行政が肥大し、財政赤字がふくらんでいる。だが、太ってしまった行政に合わせて、財政支出を増やしてきたのが今までの政治だった。
 
 昨年、閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(いわゆる「骨太の方針2006」)で、11年度までにプライマリーバランスの黒字化を宣言した。そのために、11・4兆-14・3兆円の歳出削減をすることになった。民間の企業はどこも支出の削減に挑戦している。
 
 メタボリック症候群は放置していると、動脈硬化が進行し、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の危険度が増すという。だが、多くの“メタボ系”の人たちは「自分だけは大丈夫」と思いがちだ。日本という国も、病に倒れないようにするために“ダイエット”が必要だ。 
 
 人間のダイエットも中年の身体には辛いが、そこは乗り越えなければならないハードルだと思う。
 
 私のウエストの結果は、“メタボ”判定基準の85センチを超えていた。国の歳出削減の前に、わが身の脂肪“歳出削減”しないと…。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成19年5月22日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日