連載80 今こそ政治にも真剣さが問われている


 
今こそ政治にも真剣さが問われている
 
 
 
 
 
笑顔の遼君に思う
 
  「あんな息子がいたらなあ」
 
 プロゴルファーの石川遼君(17)を見て、そのように思っているお父さんは多いのではないか。
 
 「すごいぞ、17歳で1億円稼ぐんだからな。しかもあの取材の礼儀正しい受け答え…」
 
 私の言葉に対し、18歳の長男は「比較しないでよ」とふくれっ面になる。まあ、人それぞれ個性があるので、比較してはいけないし、子どもの成長は親の責任でもあるのだが…。
 
 遼君がプロデビューしたことで、昨年の男子ツアーの観客動員数は前年の2割増となった。テレビ視聴率も平均6.9%と前年比1.8ポイントアップしたという。
 
 その遼君が来月9日からのマスターズを含め米国ツアー3試合に出場するため渡米した。
 
 出発前の記者会見では「3大会で(予選を通過して)各4日間、計12ラウンドして、常に4バーディーを目指したい」と語った。遼君が言うと、その目標を達成しそうだと思うし、「頑張れ」と心の中で思わず叫んでしまうのは私だけではあるまい。
 
 ゴルフといえば、毎日新聞の浜松支局時代にクラブを握った。当時26歳だった。「これから付き合いも多くなるし、ゴルフは覚えておいた方がいいぞ」と支局長。「止まっている球を打つんだから、野球やテニスと比べれば簡単」と私。それでも基礎が大切だとの支局長のアドバイスで、週1回のゴルフ・スクールを2ヶ月通った。
 
 そして、支局長に連れられ初めてコース・デビュー。経験者はお分かりのように、散々な目にあった。
 
 学生時代、柔道をやっていたので足腰が安定しているせいか、当たれば飛んだ。ドライバーは300ヤード近く飛ぶのだが、それが芯に当たらない。右方向ばかりに飛ぶので、一緒にプレーする人たちに「君は右翼か?」と言われ、「いえ、中道なんですが…」と返事。
 
 議員になってからは、日常の活動に追われ、クラブを握ることはなくなった。
 
 どんなプロでもちょっとしたミスで大崩れしてしまうのがゴルフ。そのミスをどこまでリカバリーできるか。政治も似ている。フェアウェーど真ん中を意識して打った“政策”。ところが“政策”の中身より、発言や行動で、マスコミや有権者の反応は厳しく、結果はバンカーや池ポチャに。
 
 タイガーウッズもそうだが、いつも笑顔の遼君もプレー中の真剣さが、画面を通じて伝わってくる。「100年に一度」といわれる経済危機の中、今、政治の真剣さが問われているのではないか。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成21年3月18日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日