連載100 朝青龍引退と小沢氏不起訴


 
 
朝青龍引退と小沢氏不起訴
 
 
 
 
 
 
政界の品格は風前の灯
 
 朝青龍が引退した。
 
 引退会見の直後、民主党・小沢幹事長が不起訴になった。
 
 翌日の朝刊。「毎日」「産経」は朝青龍が一面トップ。一方、小沢氏不起訴がトップは「朝日」「読売」だった。
 
 さて、読者はどちらに興味をもっただろうか。
 
 初場所中に泥酔、暴行問題を起こし、引退に追い込まれた朝青龍。これまでも巡業をけがで休みながら、モンゴルでサッカーをして2場所の出場停止の処分を受けたのをはじめ、奔放な振る舞いでトラブル・メーカーとして注目された。
 
 一方で、大鵬、千代の富士に次ぐ25回の優勝に加え、平成16年九州場所から史上1位の7連覇を記録するなど、土俵上の強さは、まさに平成の「大横綱」に値する。
 
 しかし、引退後の報道は「品格」という字が踊っていた。横綱の品格とは何か。引退勧告した横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長は「横綱の地位は(中略)国民に広く敬愛されている栄光である。土俵上で心・技・体で最高位であることはもとより、土俵外にあっても国民の尊敬と期待に背くようなことがあってはならない」との談話を発表している。
 
 「相撲道とは人が一人の人間を作る作業」。32回優勝した大鵬の納谷幸喜さんの言葉だ。さらに、69連勝の双葉山は昭和14年1月15日、安藝ノ海に敗れ、その連勝がストップした時、「未だ木鶏たり得ず」と電報を打った。木で作った鶏のように無心の境地に至れなかった自分をいましめて、精進を誓った言葉といわれている。
 
 翻って政界はどうか。横綱に求められている「品格」は、選良たる国会議員にも求められている。
 
 「選挙に強い」といわれる剛腕幹事長の小沢氏。元秘書の代議士をはじめ3人が起訴された。小沢氏本人が不起訴になったとはいえ、自らが代表を務める資金管理団体を舞台とした事件だ。
 
 「秘書がやったことで私は知らない」とする小沢氏だが、不動産購入の原資について、最初は「献金」、次に「融資」、最後は「自己資金」と発言が二転三転。また、4億円もの資金を動かすのに本当に秘書だけでやって知らなかったのか。国民の疑問は「幹事長辞めるべき」との世論調査の結果が端的に表している。
 
 一方は「引退」というケジメをつけて「品格」を守ったが、政界の「品格」は風前の灯になっている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成22年2月10日付 「夕刊フジ」より転載)
 
 

2017年02月20日