連載69 「政権交代」叫ぶ小沢代表の矛盾


 
 
「政権交代」叫ぶ小沢代表の矛盾
 
 
 
 
 
 「あんなに気合いを入れてやらなきゃいけない?」
 
 麻生・自民党総裁が神崎・公明党常任顧問に話しかけた。
 
 「いやあ、いつも通りで結構ですよ」と神崎顧問が笑いながら答えた。
 
 23日に開催された公明党大会。前日の自民党総裁選に圧勝した麻生総裁が来賓として出席。
 
 壇上では、再任された太田代表の挨拶が続いている。「日本の未来を決する衆議院選挙に断じて勝利しなければならないと・・・」。ボルテージがガンガン上がってきた時、冒頭の麻生発言があった。
 
 太田代表の演説は直球勝負だ。一方、麻生総裁の話は変化球を織り交ぜる。閉塞感のある我が国の現状を打破するために、与党トップの“硬軟”のコンビネーションは効果的だと思う。
 
 来賓挨拶に立った麻生総裁。メモを取り出して、少し緊張気味に話し始めた。
 
 「今までメモを見ながら話した麻生さんは見たこともない」。麻生総裁と共に政調会長を務め、気心が知れる北側幹事長が党大会後に話していた。
 
 だが、しばらくすると「暗いとダメ。明るくないと世の中ダメ」と、小沢民主党代表を意識して話すと、会場から爆笑と拍手。メモはどこかへ行ってしまい“麻生節”が出てきた。「民主党は一体、国家・国民のために何をしてきたのかということを率直に考えていただきたいと思います」。いつの間にか麻生総裁もボルテージが上がっていた。
 
 その日の夜、麻生・太田会談で新たに政権合意書にサイン。翌日、麻生内閣がスタートを切った。
 
 永田町は解散総選挙に向かって与野党ともに突き進んでいる。
 
 臨時国会の初日。民主党の小沢代表が代議士会で「政権交代の秋」と挨拶したニュースが流れた。
 
 昨秋の大連立騒動の時、小沢代表は民主党役員会で「大連立」を反対され、辞任を表明した。その時の記者会見では「(民主党に)政権担当能力が本当にあるかどうか。あらゆる面で、いま一歩という感じだ」と語っている。
 
 あれから1年。自ら「政権担当能力」に疑問を投げかけた小沢代表が、今度は「政権交代」を叫ぶ矛盾に民主党はどう答えるのだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成20年10月1日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日