連載8 恥を忘れた日本の風景



恥を忘れた日本の風景
 
 

 
 
談合に汗を流す防衛施設庁
 
 米国の文化人類学者、ルース・ベネディクト女史の著書「菊と刀」。善悪に基準を持つ西洋の「罪の文化」に対し、他者からの評価を基準にする日本の「恥の文化」を指摘した。ところが、最近の事件を見ると、「恥の文化」さえ消えてしまったように思える。
 
 防衛施設庁発注の空調工事をめぐる談合事件では、現職とOB幹部が東京地検特捜部に逮捕された。官僚が天下りし、業界の窓口として、発注の配分を決めていた典型的な官製談合だ。
 
 すべての官僚が、そんなことをしているわけではあるまい。いや、真面目に国家、国民のために頑張っている人も多い。
 
 自衛隊はイラク・サマワで現在も人道復興支援活動をしている。隊員は命を かけて日本の代表として汗を流している。また、年末から年始にかけての雪害 でも自衛隊員が出動した。その一方で起こったのが防衛庁の外局での不祥事 だ。部署は違うとはいえ、現場で汗している隊員とのギャップは何か。
 
 しかも、防衛庁では平成10年、自衛隊装備品をめぐって旧調達実施本部(調本)の背任事件があった。今回、逮捕された現職幹部らにとって、8年前の事件は他人事だったのか。
 
 先日の公明党政務調査会の全体会議は、政府が今国会に提出を予定している防衛庁設置法等の一部改正案の了承をいったん見送った。今回の談合事件と直接関係ない部署の組織改編案だったとはいえ、法案説明に来た防衛庁幹部の発言から、当事者意識はあまり感じられなかった。
 
 そういえば8年前の事件の時も額賀福志郎防衛庁長官だった。初入閣だったが、4ヶ月で引責辞任に追い込まれた。めぐりあわせが悪いかもしれないが、
ここは役人に任せることなく、”政治”の責任で大胆にウミを出し切らなければならない。
 
 
開き直った東横イン社長・・・

 マンションの耐震偽装事件やライブドア事件は、いずれも「見つからなければいい」といった開き直りが感じられてならない。大手ビジネスホテル「東横イン」による不正改造問題もそうだ。事件発覚後の記者会見で、同社の西田憲正社長は「違反の認識はあった。時速60キロで走るところを67、68キロで走っていいかと思っていた」と開き直った。「罪」どころか「恥」さえも忘れたとんでもいない発言だった。
 
 ベネディクト女史が、今の日本を見たら何と言うだろうか。
 
 
 
 
 
 
 

(平成18年2月7日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日