野党でも政策は実現できる!!
1969年古ぼけた公明党ビラに思う・・・
私の手元に古ぼけた1枚のビラがある。
A4の大きさで、バックの黄色の地が薄くなって白っぽい。中央上側に横書きで「教科書無料、今春から中3まで!!」「公明党14年間の主張、ついに実現!!」と大きな見出し。その左側には、おかっぱ頭の小学生の女の子が笑っている。
1969年に公明党が作成したビラだ。このビラが昨年夏、文部科学省のファイルから出てきた。2007年度予算案の概算要求の時期。太田昭宏代表(当時・幹事長代行)が文科省に足を運び、予算の要望を聞いていた。
その時、官僚のひとりが大きなファイルから、ビラを抜き出した。
「教科書無償化を実現したのは公明党ですよね」と、官僚は太田代表に訴えた。というのも、財務省では歳出削減の観点から、教科書無償を廃止しようとの動きがあった。
ビラにも書かれたように、公明党が国政に初進出したのが56年(参院選に無所属で3人当選)。その時から義務教育の教科書無償化を訴えていた。今では当たり前の制度だが、当時は教科書は自ら買うものだった。中には経済的に厳しく、教科書を買えない子もいたという。
「義務教育なのにおかしい」と公明は主張。しかし、財務当局の壁は厚かった。
そして、主張し始めてから14年。ようやく政策が実現した。当時、公明党は野党だった。
ビラの左隅にはこうも書いてある。「教育費をたすける児童手当実現もあと一歩です!」
児童手当も67年、地方自治体からスタート。このビラの当時は105団体が実施していたが、国の制度にはなっていなかった。粘り強く公明党は動き、ビラから3年後の72年、国の制度として発足。だが対象は第3子以降で、5歳未満で月額5000円だった。
公明党が与党入りしてから8年。その間、この児童手当も4回にわたり拡充された。今では小学6年生まで、第1子、第2子は月額5000円(3歳までは1万円)。第3子以降は月額1万円が支給されるまでになった。
政党は政策を実現するのが仕事だ。選挙になると、各党は公約を発表する。
2年前の衆院選で「年金消費税3%」と主張していた党が、今回の参院選を前に、その年金消費税を引っ込めてしまった。
「野党だから(政策実現が)できない」と言うかもしれない。だが、政策の実現は冒頭のビラではないが、10年以上かかることもある。読者の皆さんはしっかり吟味していただきたい。
(平成19年6月5日付 夕刊フジより転載)