連載37 「公務員制度改革」で公明党が抵抗・・・のテロップ 日テレ報道に激怒
「公務員制度改革」で公明党が抵抗・・・のテロップ
日テレ報道に激怒
「取材していないではないか」 電話で抗議
「公務員制度改革なんですけれども、与党公明党の抵抗が強まっています」。
4日の昼過ぎ、日本テレビ系「おもいッきりテレビ」のニュースコーナーで、キャスターの声が流れた。画面にも「『公務員制度改革』で公明党が抵抗」の文字。
ちょっと待ってくれ。いつ公明党が“抵抗勢力”になったんだ!?
統一地方選の投票日の直前、私は新潟県議選の応援で、新潟市内を車で移動中だった。党広報局のスタッフから携帯電話に連絡が入った。前述のニュースが放送され、その後、党本部に抗議の電話が殺到していると。
ニュースの内容は、前日に行われた「公務員制度改革」の政府与党協議会の議事録を日本テレビが入手。それによると、省庁ごとの天下り斡旋(あっせん)を禁止して「新人材バンク」で一元管理する政府の方針について、公明党出席者が「公務員に特権を与えるというマスコミの論調が見受けられる」「参院選にマイナスになりかねない」と慎重な姿勢を強調。また、渡辺行革担当相の政治手法を痛烈に批判していると報道した。
私は日テレの公明担当記者に電話したが、報道内容を知らなかった。
そこで、日本テレビの政治部長に電話で抗議。
部長は「こちらは事実に基づいて報道している。論評は加えていない」という。
公明党の出席者の発言は事実だが、なぜ“抵抗”となるのか。公明党が“抵抗”しているというのは論評ではないのか。
さらに「公明担当の記者はこの問題を知らないと言っている」と私。部長は「彼の他にも記者はいる」と開き直る。「しかし、当事者たる公明党出席者に取材してないではないか」と私は反論したが、明確な回答はなかった。
以後は「慎重論噴出」と変更はナゼ
2日付の朝日新聞社説は「新人材バンクが天下りの温床に過ぎず、役所が退職後の面倒まで見るようなことは止めるべき」と書いた。つまり政府丸抱えの天下りの斡旋(あっせん)との指摘だ。新人材バンクを前提にこのような批判に耐えられるものにしようとの主張が“抵抗”なのか。
そもそも、主語が誰なのか。官邸の誰かが公明党が抵抗していると思っているのか。日本テレビがそう見ているのか。当事者に取材しないで報道する姿勢。私が記者時代には、そんなあいまいさは許されなかった。
ちなみに夕方のニュースは「公明党から慎重論噴出」とテロップが変わった。「事実に基づいている」と強弁するなら、テロップは変えなくていいはずだが…。
(平成19年4月17日付 夕刊フジより転載)