連載99 首相も民主党も”暴走”


 
 
首相も民主党も“暴走”
 
 
 
 
 
 
検察・報道批判よりも真相究明が先
 
 民主党が“暴走”している。
 
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の土地購入を巡る事件で15日、衆院議員・石川知裕容疑者ら3人が逮捕されたのがきっかけだ。
 
 まず、鳩山首相が小沢氏に「どうぞ闘ってください」と語った。行政のトップとして、その一機関である検察と「闘う」というのは不見識と批判を浴びた。すると「(小沢氏の)幹事長続投を認めた意味で申し上げた」と釈明。ところが、21日の会見で鳩山首相は石川容疑者について「起訴されないことを望む」と発言。取り調べをしている検事は、首相の発言にどう思ったか。これまでも数々の“迷走”発言をしてきた鳩山首相。今回は「反検察」の本音が出てしまったのか。結局、その発言も翌日の予算委員会で撤回した。
 
 一方、民主党は「捜査情報の漏えい問題対策チーム」を立ち上げた。責任者を務める小川敏夫参院議員は「検察からマスコミへの捜査情報が漏れているのは明らか」と 述べたという。「検察リーク」の根拠は何か。自分たちに不都合なことを「リーク」というのだろうか。新聞記事はさまざまな取材情報を積み上げて紙面化される。「情報操作」された紙面を作ったメディアは信頼を失ってしまう。記者を経験した私の実感だ。
 
 さらに石川容疑者の当選同期の議員らが「石川代議士の逮捕を考える会」を立ち上げ、石川容疑者逮捕を「不当だ」と訴えている。だが、逮捕状請求をしたのは検察だが、それを認めたのは裁判官という認識はあるのだろうか。極めつけは原口総務相の発言だ。「関係者によると」とした報道について、「何の関係者か分からない。そこを明確にしなければ、電波という公共のものを使ってやるには不適だ」と述べた。
 
 これに対して各メディアは一斉に反発した。毎日の社説(22日)では「『監視される』側の権力の中枢が、監視する役割を担うメディア に、事細かく注文を出すような発言はいかがなものだろうか」と批判したのだ。
 
 与党だった時の自民党がこのような動きをしたら、民主党は「言論統制だ」と大合唱をしたのではないだろうか。公明党の坂口力副代表(元厚労相)が、一連の民主党の動きにこうつぶやいた。「権力慣れしてないんだ」民主党に求められているのは検察・メディア批判ではない。党をあげて事件の真相を究明するチームを立ち上げ、「政治不信」を払しょくすることだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成22年1月27日付 「夕刊フジ」より転載)
 
 

2017年02月20日