連載131 「すっからカーン」だった内閣人事



 
「すっからカーン」だった内閣人事
 
 
 
 
 
 
 
 あらゆる組織で人事は行なわれる。それはある目標を達成させるためとか、組織を活性化するために行なわれるはずだ。
 
 ところが、今回の菅首相による内閣人事は何のために行なったか一向に分からない。国会の課題をさらに混乱させてしまった。
 
 人事には悲喜こもごものドラマがあるが、今回は「喜」はあまりみられない。原発担当相に就任した細野氏や自民党から「一本釣り」された浜田総務政務官は満足しているかもしれないが…。
 
 原発担当相の仕事は何か。これまで原子力行政を担当してきた海江田経産相との役割分担が不明確。細野氏が原発に対する指示や命令を出しても法的権限がない。海江田氏が「法律や政令に基づく指示、命令は私から発する」と述べているところをみると、海江田氏の心中はおもしろくないのではないか。
 
 細野氏の入閣ではじき出されてしまった蓮舫行政刷新担当相も不本意のようだ。大臣を辞めて首相補佐官に就いたが、担当はこれまでやっていた行政刷新。つまり「降格人事」だ。自らが所属する民主党・野田財務相グループの会合で「(官邸の)補佐官室には3秒もいられない」とぼやいたとの記事もあった。
 
 この蓮舫氏の首相補佐官就任で玉突きではずれたのが馬淵元国交相。参院で問責決議を受け、国交相を退任。東日本大震災の発生後に原発担当の首相補佐官に就いた。それが原発事故が収束することもなく「お役御免」に。菅首相は馬淵氏に経産副大臣のポストを提示したが断わられたという。馬淵氏にしてみれば「大臣を辞め、補佐官をクビになり、副大臣なんて受けられるか」という心境かもしれない。
 
 復興基本法の成立を受け新たに復興担当相になった松本龍前環境相。3日に被災地を訪れた際、放言で閣僚としての資質が問われ辞任することになってしまった。
 
 極めつけは自民党の浜田参院議員の「一本釣り」だ。仙谷官房副長官は前原前外相グループの会合で、浜田氏の人事について「百害あって一利なし」と述べた。さらに安住国対委員長は「こんなことで2次補正予算案、特例公債法案、再生エネルギー特措法案なんか責任は持てない」と激怒。
 
 浜田氏も政務官就任前のブログで菅内閣を批判。先月23日には「日本の国益や外交は〝すっからカーン〟状態」と酷評していた。
 
 菅内閣、そして民主党はバラバラな状態で組織としては崩壊している。早く首相は退陣すべきだが、やめる気配は全くない。
 
 であるなら、菅さん好きなだけ首相を続けなさい。国民は延命にだけこだわっている菅首相について関心も持たなくなるだろう。国会は被災者にとって必要な法案を淡々と成立させればいい。
 
 
 


 
 
(平成23年7月6日付 「夕刊フジ」より転載)


 

2017年02月20日