国民のための「安心実現」だ
原油、食料品などが高騰している。
このコラムを読んでいる読者も物価高の直撃を実感していると思う。
スーパーのチラシを見て少しでも安い品物を購入しようとする主婦。小遣いが減って昼食を工夫しているサラリーマン。皆、生活防衛に走っている。
内閣改造後の今月4日。福田首相は与謝野・経済財政相に経済対策の取りまとめを指示した。それを受けて公明党は8日、与謝野担当相に対して「定額減税」を柱とする経済対策の実施を求めた。
今、目の前で困っている人のために手を打つことが政治の大きな柱だと思う。
わが国の経済状況は悪い局面に入ってきている。先日、内閣府が発表した4―6月期のGDP(国内総生産)速報値は、前期比0.6%減。年率換算でマイナス2.4%。6月の消費者物価指数も前年同月比で1.9%上昇。しかし、これは耐久消費財なども含まれているため、日常的な生活用品や食料品などはもっと上がっているというのが、国民の生活実感。
景気が後退局面で給料が上がらず、物価高は容赦なく直撃してくる。
政府の経済対策の方針をまとめる政府与党会議が11日、官邸で開かれた。
与謝野担当相から経済対策策定にあたっての3つの柱立てが示された。そのペーパーを見て、わが党の税制調査会長・井上副代表が「ちょっと待った」と口火を切った。
政府の提示した1番目の柱は「低炭素社会実現」などの構造変革の加速化の措置。これはこれで重要だが、生活者支援は3番目となっており、しかも「物価高」という表現もない。
「このままのペーパーで記者発表するんですか。それは納得できない」。井上副代表が強い口調で押し切った。
結局、生活支援が1番目となり、「物価高騰に直面する国民生活の不安を解消し」との文言が入ることになった。
今、国民は物価高に苦しんでいる。そこに焦点を当てずに、いくら経済対策の手を打っても、それは国民ニーズとはかけ離れてしまう。何でこんなことが分からないのか。
福田総理も与謝野担当相も、そして霞が関の官僚も、ちょっと街に出て、スーパーをのぞいたら、そんなことはすぐに実感できる。
「安心実現内閣」と福田首相は言った。その意味は国民にとっての「安心実現」のはずだ。
(平成20年8月27日付 夕刊フジより転載)