連載20 政治腐敗に厳しい目を


 
政治の腐敗に厳しい目を
 
 
 

 
 

 
 
田中角栄元首相逮捕から30年経って
 
 
 27日の毎日新聞朝刊に田中角栄・元首相逮捕から30年目の記事が載っていた。
 
 「あれから30年もたったのか」というのが正直な感想だった。同じ年の妻は「今の若い人にとっては“歴史”よね」と言う。
 
 「戦後最大の疑獄」と呼ばれたロッキード事件。米国・ロッキード社から5億円を受け取ったとされる「首相の犯罪」だった。
 
 田中・元首相が逮捕されたのが昭和51年7月27日。夏休みに入った暑い日だった。あの日から30年の歳月が過ぎた。
 
 当時、高校2年だった私は、柔道に明け暮れていた。だが、前代未聞の疑獄事件は覚えている。その年の2月、米国議会で発覚したロッキード事件は、国会で証人喚問も行われた。「記憶にございません」という“流行語”まで生んだ。100万円を「1ピーナツ」と“隠語”で数えていると報道され、食卓の上で本物のピーナツを数えて、「これで○○○万円」とふざけたこともあった。
 
 その後も国会を舞台にした政治家絡みの事件は続いた。昭和から平成に変わる時、リクルート事件が世間を騒がせた。私は新聞記者として、静岡支局から東京社会部にあがってきたばかりだった。先輩記者から言われて、立川市の区検察庁前で張り込みをしていた思い出がある。
 
 さらに東京佐川急便事件が起こった。平成4年11月、自民党の故金丸信・副総裁が病気入院のため、臨床尋問が行われた。社会部記者の私は取材で国会を走り回っていた。
 
 そんな私が昨年12月、耐震偽造問題の証人喚問で、質問席に立っているとは不思議なものだ。自分の中では、それぞれの事件は鮮明に記憶している。しかし、冒頭の妻の発言ではないが、「ロッキード事件」といっても、30歳の人から見れば生まれたときのこと。歴史の教科書で学ぶことだ。(日本の歴史授業は近現代史をあまりやらないので、学んでないかもしれないが…)
 
 これまでも不祥事が起きるたびに「政治とカネ」について批判が高まり、政治資金規正法などが改正されてきた。
 
 特にわが党が連立に参画をしてから、政治家個人に対する企業・団体献金の禁止や、「あっせん利得処罰法」なども成立させてきた。
 
 だが、政治に対しての国民の信頼感は深まっているのだろうか。過去の事件を単なる「歴史」に終わらせてはならない。そして、政治は「これで十分」と思った瞬間から、腐敗が始まる。戒めていきたい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成18年8月1日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日