“チーム安倍”に欲しい政策への「ひたむきさ」
球春到来に思う
「球春」が近づいてきた。
3月下旬になって、TVのスポーツニュースも野球の話題が増えている。松坂、イチロー、松井などの大リーガーの情報。開幕が近くなり、最後の調整に入った日本のプロ野球オープン戦。
23日からは選抜高校野球がスタートする。“センバツ”は私の出身でもある毎日新聞社の主催。21年前の春。第58回大会で静岡支局の記者として、東海地区代表の浜松商ナインについて甲子園取材をした。
出場が決まった2月から担当記者になり、夜遅くまで練習に付き合い、ナインや監督の取材を約2カ月続けた。
大阪入りすると全国の支局から、同期入社の若手記者がそれぞれのチームに随行してきた。久々の同期会の雰囲気が甲子園にはあった。
組み合わせ抽選会で、わが浜松商は初戦の相手が強豪・PL学園となった。
清原や桑田がちょうど卒業した年のチームだったが、優勝候補の筆頭。担当となったチームには愛着がわく。「何とか選手たちに校歌を歌わせてあげたい」と思うが、相手がPLだと、「やはり初戦で終わりか」と弱気になった。
ところが、試合は何と8-1で浜松商が勝ってしまった。傑出した選手がいたわけでもない。まさにチームワークで勝ったとしかいいようがなかった。
大リーグなどを見ると、パワーやスピードなどで高校野球は見劣りする。しかし、熱狂的なファンも存在する。昨年夏の大会では、ハンカチ王子こと早実・斎藤と、駒大苫小牧・田中の投げ合いに日本中が酔った。
「高校野球の魅力って何か」と問われれば、ありきたりだが「ひたむきさ」。それが観客を、またTVで見ているファンを喜ばせる。
「国民」という観客は飽き飽き
一方、今の永田町はどうか。国の未来について「ひたむき」に悩み、議論をする国会のはずなのに、相変わらず与野党の駆け引きや足の引っ張り合い。国民という観客も飽き飽きしている。
負けると思われたチームが、予想をくつがえして勝った21年前の春。今の官邸は“チーム安倍”。まさに“チームワーク”と“ひたむきさ”で永田町を見る観客を酔わせてほしい。
(平成19年3月20日付 夕刊フジより転載)