“小沢劇場”の真意
「国替え」報道
「小沢氏国替え示唆―民主が東京「刺客」作戦」(朝日)
「小沢氏、くら替え?―東京12区『起爆剤』期待も」(毎日)
「小沢氏 消えぬ国替え説―次期衆院選やはり東京12区?」(産経)
15日の朝刊各紙。民主党・小沢代表が次期衆院選で、地盤の岩手から、東京12区に国替えか?―と一斉に報じた。
真偽のほどは分からないが、東京12区の現職は、わが党の太田代表だ。もし実現すれば文句なしの「注目選挙区」は間違いない。
だが、「ちょっと待てよ」と思う。民主党は東京の25選挙区のうち候補者がまだ決まっていない選挙区が7と出遅れている。そこに自らが「刺客」候補として乗り込み、3年前の「郵政選挙」のあだを討つつもりなのだろうか。
「郵政選挙」の真っただ中の2005年8月25日。小沢代表は自らのメールマガジンで、劇場型選挙を称して次のように語っている。「派手な候補者擁立などのパフォーマンスで、なんとなく今までと違うことに目を奪われている人が多い」「小泉さんはインチキだ」
もし「国替え」となれば、岩手で13回当選してきた小沢氏は、これまで支援してくれた岩手の有権者を見捨てていくのだろうか。自民党を離党したときも、新進党を解党した時も、また自由党が民主党と合流したときも支えてくれた有権者だ。
「インチキ」とまで言って前回の「劇場型選挙」を批判しながら、自らそのような行動をとるとしたら、岩手以外の有権者にもどのように説明するのか。
一方、東京12区で太田代表を支援してくれている男性がこう言った。
「(小沢代表の国替えは)ウェルカムですよ。これまで12区は公明票+自民票だったが、保守系の候補が出たり一枚岩にならなかった。しかし小沢さんが(12区に)来れば、自民党は全面的に動いてくれる」
公明党の選対委員長の立場としては、相手が誰であろうと、党代表の選挙区を死守するため、全力をあげるのは当然だ。ただ、「政権交代」と叫んで“国替え”するなら、政権の看板である福田総理の群馬4区はどうだろうか。まさに次の総理を選択する“一騎打ち”になるはずだ。
パフォーマンスならそれくらい大胆でないと“小泉劇場”は越えられない。
(平成20年5月21日付 夕刊フジより転載)