連載139 「失敗」をどう克服するかが大切 自公民、臨時国会で試される「成長」
「失敗」をどう克服するかが大切
自公民、臨時国会で試される「成長」
「強い!」
その言葉が思わず出てしまうようなレースだった。
第72回菊花賞。中央競馬のクラシック3冠最後のレースでオルフェーヴルが史上7頭目の3冠馬に輝いた。
馬券を買っていたわけではないが、ディープインパクト以来、6年ぶりの3冠達成なるかというレースだったので、思わずテレビの競馬中継に見入ってしまった。
3歳牡馬のクラシックは、「最も速い馬が勝つ皐月賞」「最も運の良い馬が勝つダービー」「最も強い馬が勝つ菊花賞」と言われる。今回のオルフェーヴルはその強さを証明するようなレース展開だった。
京都競馬場。一周目の下り坂では前に行こうとするオルフェーヴルを池添騎手は「我慢してくれ、我慢してくれ」と願いながら、馬群の中団に。その後はうまく折り合い、4コーナー手前からジワジワと前に出てきて、直線を向いた時に一気に爆発。先頭に出ると後続の馬はついてこられない。2馬身半の差をつけゴール板を駆け抜ける姿は、まさに「最も強い馬」だった。
性格は「やんちゃ」と言われるオルフェーブルはデビュー戦で勝った後、池添騎手を振り落した。今回も走り終えた後に相方を落馬させるというおまけがついた。
競馬は血統が重要といわれる。だが、血統さえ良ければ、大丈夫かといわれれば、そんな甘いものでもない。
オルフェーヴルは新馬戦こそ勝ったものの、その後4連敗を喫している。池江調教師はスポーツ紙のインタビューで次のように語っている。「気性が幼く、折り合い面に不安を抱えた馬でした。昨秋の京王杯2歳ステークスで10着に敗れてからは、馬に我慢を教え込むことが最大のテーマ。菊花賞で3000㍍の長丁場を克服してくれたことは、成長の証明」。やんちゃなオルフェーヴルは「我慢」を覚えた。
相撲界には「負けて覚える相撲かな」という言葉があるが、負けた後、失敗した後にどうしていくのか。勝負の世界ではポイントになってくる。
政界でも2世議員や議員になる前の肩書きなどで「地盤」「看板」「カバン」などの〝血統〟が当選の有利、不利と考える場合がある。だが、議員バッジをつけた後、どのような仕事をしたかが重要。競馬をはじめ勝負の世界と同じように結果がすべてだからだ。
民主党政権になって2年。多くの失敗があったが、それをどう克服していくかが3人目の首相には問われている。
一方、下野した自民、公明もその後の〝調教〟がうまくいっているのか。次の選挙で政権を再び任せてもらえるか。臨時国会では互いの成長が試されている。
(平成23年10月26日付 「夕刊フジ」より転載)