連載6 国を挙げて「子育て」に取り組もう


 
 
国を挙げて「子育て」に取り組もう
 
 

 
人口減少社会に
 
 「2人目の子を保育園に入れたいんだけど、上の子と違う保育園になるというの…」
 
 先日、知人から相談を受けた。
 夫婦とも銀行勤め。夫の方は支店が遠いため出勤は早い。2人の子どもを保育園に連れて行くのは妻の担当。しかし、上の子の保育園は空きがないため、下の子は別の保育園に。
 
  「空きができたら転園できると役所は言うので、それまで、私が踏ん張らないと」と、妻はため息まじりで言った。
 
 政府は、公明党が主張した「待機児童ゼロ作戦」を取り入れ、保育園の拡充に乗り出している。保育園の待機児童は着実に減ってきているものの、まだまだ切実な問題は残っている。
 
 厚生労働省が発表した「人口動態統計」によると、日本は今年から「人口減少社会」に転じた。今年生まれた赤ちゃんは、昨年から4万4000人減って106万7000人に止まった。
 
  少子化に歯止めがかからない。合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の平均数)は1.29(ちなみにわが家は3人)。人口を維持するために必要な水準は2.08だが、30年前からその数字は下回り続けている。
 
 子供は一人っ子ばかりになると、「いとこ」という言葉が死語になる。「おじ」や「おば」もいなくなる。笑えない話だ。
 
 
女性を取り巻く環境・制度も不十分

 なぜ、子供を産まない(また産めない)のか。理由はいろいろあるだろう。その中でも、お金の問題、経済的な負担も見逃せない。また、冒頭の私の知人のように、女性が働きながら、子供を産み、育てるという環境・制度もまだまだ不十分だ。
 
 日本の場合、84兆円の社会保障費のうち高齢者関係が7割を占め、子供へはわずか4%。
 
 国会議員もだいぶ若い子育て世代が増えてきた。一方、子育てを終えた年配の議員の中には、子育ての大変さを忘れてしまったかのような人も多い。(なかには配偶者にまかせっきりの人もいるかも…)
 
 また、これまで子育ては、家庭に任せるといった風潮があったと思う。これからは社会全体で、国を挙げて「子育て」に取り組むべきだ。
 
 わが家で3人の子が「人生ゲーム」をやっていた。末っ子(小2)が叫んだ。「4人目の子が生まれた!」。ゲームではなく、現実にしていかなければならない。
 
 
 
 
 
 
 

(平成17年12月27日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日