定額給付金 野党政策も同じ
声高に反対叫ぶが
それにしても評判が悪い。
定額給付金のことだ。
なぜこれほどまでに評判が悪いのか。まず、マスコミの影響は大いにあると思う。
テレビでコメンテーターが「バラマキ」「景気への効果はない」etc…などの発言が連日、繰り返されれば、批判は高まる。
もう一つは麻生首相の発言の「ブレ」もマイナスになったと思われる。高額所得者が受け取るかどうかで、「さもしい」「矜持の問題」といった言葉が一人歩きした。
100年に一度といわれる経済危機の中で、政府は総額75兆円の経済対策を打ち出した。第1次補正予算(昨年10月16日成立)は執行中。
さらに第2次補正、平成21年度予算と切れ目ない対策にしようとしている。定額給付金2兆円は総額75兆円のうちの一つである。
そもそも、昨年8月末に政府与党は「定額減税」を行なうことを決めた。
しかし、減税だと所得税の課税最低限以下の低所得の方々には恩恵は行き渡らない。その方々のために「負の所得税」という考えから定額減税分を給付することになった。だから、麻生首相が「すべての国民に給付する」と会見で述べたのだ。
元は定額減税なのだから高額所得者も一定額減税される。「受けとる」「受けとらない」が議論になるのに違和感を覚えた。
一連の報道をみると、国内の議論ばかりが目立つ。昨秋のG20で、各国ができるかぎりの経済対策、財政出動することを確認した。
米国では小切手で給付する11兆円減税を昨年4月に実施。新たなオバマ政権も28兆円減税を打ち出し、さらに1人約4万5千円が支給される。
英・仏・独も大規模な減税を経済対策として打っており、豪州は昨年12月に給付金を実施。お隣の台湾でも1人約1万円の商品券を全国民に配布した。
一方、給付金に反対する野党だが、民主党は「給付金付税額控除」を主張。
昨年暮れに発表した同党の「税制抜本改革アクションプログラム」では「控除額が所得税額を上回る場合には控除しきれない額を現金で給付する」とある。
また、社民党も3兆円の定額減税を主張。
減税の恩恵を受けない低所得者向けには「消費税のうち飲食料品に係る部分をお返しする『戻し金』を提案」と同党HPには書かれている。
いずれにしても「減税」と低所得者への「給付金」「戻し金」をセットで主張しているが、定額給付金と同様の考え方だ。
本来であれば野党は「もっと減税せよ」と声高に叫ぶのであるが、今回は反対の大合唱。すると自らの政策も反対せざるをえなくなるのだが…。
(平成21年1月21日付 夕刊フジより転載)