連載47 粘り腰の連立政権協議


 
粘り腰の連立政権協議
 
 
 
 
「領収書1円以上」と「高齢者医療」で主張通す
 
 「やはり2つが残った」
 
 国会内の衆議院30控室。先月24日、自民・公明の連立政権協議。2回目の交渉を終え、公明党の控室に戻った北側幹事長の第一声だった。
 
 公明党が連立政権に参画して8年。これまでも小渕、森、小泉、安倍と内閣が変るたびに、連立政権合意を結んできた。
 
 しかし、その協議は水面下で行われてきた。公明党が何を主張し、どこを押し込んで、どこを妥協したのか、多くの有権者は分からなかった。
 
 「何のための連立政権か」。今回の新内閣スタートにあたって、わが党の主張を事前に明らかにして、政権協議に臨むことになった。協議4日前の20日、北側幹事長が「連立政権協議に臨むにあたって」という基本姿勢を発表。これまでにない異例のことだった。
 
 午後2時から始まった政権協議。出席者は公明から北側幹事長、斉藤政調会長、井上副代表。1回目の協議は約1時間、それぞれの主張を述べあった。
 
 その後、“政権合意”を文章化する作業に入った。午後5時半、2回目の協議に“交渉3人組”が出発。午後6時半、協議を終えて、冒頭の北側幹事長の言葉が発せられた。
 
 「経済財政運営」「地域格差」「年金」と各項目はほぼ合意。15項目のうち「医療」と「政治資金」だけが残った。
 
 公明は「来年4月から実施予定の高齢者医療の負担増の凍結」と「政治資金の1円以上の領収書の添付義務付け」を強く求めていた。
 
 そして午後8時から3回目の協議がスタート。公明控室の外には多勢の記者が待機している。トイレに行く私に記者が寄ってきて「内容はどうなっているんですか」「明日の朝刊紙面あけているので、お願いしますよ」。
 
 そうこうしているうちに8時半すぎ、北側幹事長らが戻ってきて、一言。「大筋合意ができました」。待っていた太田代表はじめ役員からもほーっと、ため息が漏れた。
 
 翌日の産経朝刊では「自公『1円以上』合意・領収書添付、公明粘り腰」と見出しが躍った。高齢者医療も“負担増凍結”の方針が確認された。
 
 「(自民に)言うべきことは言う」と太田代表は語っている。福田内閣がスタートし、公明党にとってその姿勢がさらに問われてくることは間違いない。

 
 
 
 
 
 

(平成19年10月2日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日