あまりに軽い首相発言
普天間、献金、天皇陛下特例会見・・・・
言葉があまりにも軽すぎる。鳩山首相のことだ。国のリーダーに失礼とは思ったが、そう言わざるをえない。
まず沖縄・普天間基地問題。衆院選の真っただ中に開催された党首討論で、普天間基地の移設について、首相は「国外か、(沖縄)県外」と主張していた。首相就任から3カ月。沖縄県民や米国は首相の言葉に翻弄され続けた。
11月の日米首脳会談。首相は「トラストミー」とオバマ大統領に語った。私(首相)の何を信じてくれと言いたかったのか。11月24日、タイで記者団から普天間問題を聞かれると「最後は私が決める」と大見栄を切った。今月9日にも会見で同様な発言をしている。だが、結果は「決めないこと」を「決めた」だけだった。
次に首相の偽装献金疑惑。平成14年3月のことだ。自民党の加藤紘一元幹事長の秘書による脱税事件について、夕刊フジのコラムで首相は「秘書の罪は国会議員の罪」と断罪していた。今回の献金疑惑について、秘書が在宅起訴されても自らは上申書を東京地検特捜部に提出して逃げきろうとしているとの報道もある。今後、政治資金規正法違反事件が起きたら、疑惑をもたれた政治家は「私は知りませんでした」との上申書で済まそうとするだろう。
まだある。天皇陛下と中国・習近平国家副主席の特例会見問題だ。
この問題がクローズアップされた今月11日の会見で首相は、「1カ月を数日切れば杓子定規で駄目だというのは、国際親善の意味で正しいことなのか」と述べた。
だが、外務省から宮内庁へ会見要請があったのは先月26日。数日どころか、「1か月ルール」に照らし11日もオーバーしていた。
今後、他国から同じような要請があった場合はどうするのか。ルールは杓子定規に意味がある。首相は「ちょっとくらいルールを破ってもいいのでは」との感覚があるのだろうか。
特例会見問題では民主党の小沢幹事長が、宮内庁長官の発言に反発していた。
政治家が信念に基づき発言することは大切だ。だが、小沢氏は「天皇陛下ご自身に聞いてみたら、必ず『それは手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょう』とおっしゃると思う」と“陛下のご心中”まで語った。
首相の言葉に「軽さ」を感じる一方、小沢氏の言葉には権力を背景とした「傲慢さ」を感じた人も多かったのではないか。
(平成21年12月23日付 夕刊フジより転載)