復興予算成立に向け「スピード感」と「大人の対応」必要
野田政権が発足して3週間。ようやく衆参の予算委員会での論戦が始まった。
野田内閣がまず全力をあげて取り組まなければならないこと。それは東日本大震災の復旧・復興と原発事故の対応だろう。26日の予算委でも野田首相はその2つを強調していた。
震災の発生から半年以上が過ぎた。被災地の復興への道のりはまだ険しいものがある。「お盆までに仮設住宅に(被災者)全員入居」と国会で答弁しながら、結局、実現しないまま退陣していった菅前首相。その後を受けた野田首相は、復興予算となる第3次補正予算を早急に成立させ、復興を形あるものにしなければならない。
ところが、今回の予算委員会には肝心の補正予算案が提案されていない。今の状況では早くても10月下旬に予算案が国会に提出されるという。復興予算の中には震災で崩壊した道路や港湾などインフラの整備、新たな街づくりのための交付金なども含まれる。だが、これから冬を迎える中、復興の工事は雪などで困難をきわめる。野田首相は就任直後、東北3県の被災地を視察した。現場の声をどう聞いたのか。
8月9日、民主・自民・公明の3党は民主党の政策見直しに関しての確認書に合意した。そこには「復興のための第3次補正予算の検討」と3党で協議することも書かれている。だが、補正予算に関して3党協議が一向にスタートしない。
民主党では予算の財源について議論しているが、なかなかまとまらない。協議しようにも政府・与党がまず意見を集約しないと入り口にさえも立てない。野党時代の民主党であれば、責任も感じることなく、党内がまとまりませんでしたで済んだが、今は政権与党。議論も大切だが与党としての自覚があるのだろうか。
一方、自民党は党内で「解散に追い込むべきだ」と3党協議に後ろ向きな意見もあるようだ。また国会の会期延長をめぐり対決ムードもある。だが、被災者の立場からすれば、「何党だろうが早く復旧・復興をやってもらいたい」というのが本音だろう。
3次補正予算案に関して言えば、民主党は党内を早くまとめ、自民党もここは細かいことにこだわらず、協議をして被災者に応えることを優先すべきだ。
1000年に一度といわれる今回の震災と原発事故。政治に求められるのは「スピード感」と「大人の対応」だ。
(平成23年9月28日付 「夕刊フジ」より転載)