マニフェストで“品定め”を
選挙はギャンブルではない
「『当落確率データ』全公開」(週刊ポスト)、「300小選挙区『全当落』一挙掲載」(週刊現代)
週刊誌の中吊り広告に躍る活字。真夏の衆院選が刻々と近づくにつれ、週刊誌も“恒例”の当落予想で盛り上がっているようにみえる。
読者(有権者)にとっては当落予想より、各党の政策・マニフェストの方が重要なのではと思いつつ、各誌を開いてみると、各候補予定者の名前の上には○△▲などの優劣の印。まるで競馬の予想紙のようだ。
競馬の場合、血統、過去の戦績、追い切りのタイム、馬体重など様々なポイントをチェックする。競馬場のパドックで、出走前の馬そのものを見極める人もいる。さしずめ解散をして、公示までの間は、各候補者はパドックで“品定め”されている状態か。
政党、候補者を“品定め”するための大きな材料はやはりマニフェストではないだろうか。だが、そのマニフェストが途中でクルクル変わってしまうと、“品定め”しようがなくなってしまう。
8日付の朝刊各紙は民主党の公約修正が大きく報道された。「民主3公約を修正」「日米FTA・成長戦略・分権」と朝日新聞は1面トップで報じている。記事では「今回の迷走劇は、党内で十分な論議をしないまま重要なことが決まる『風通しの悪さ』と、世論の動向を読み切れない『鈍さ』が党の体質に残っていることを示した」と手厳しい。
一方、今はテレポリティクスといわれているほど、テレビが政治を左右している。特に解散してから、政治家のテレビ討論が増えている。私も週に2回、3回と討論に参加してきた。
そこでは、いかに分かりやすく話すかが問われている。しかし、短時間で政策を説明しきるのは、なかなか難しい。このテレビ討論も“パドック”の一つかもしれない。
各誌の当落予想に当事者の候補者は気になるところだ。ちなみに、私の2期目(初めて小選挙区制が導入された96年の衆院選)の挑戦の時、事前の週刊誌予想は、私の方が優勢だった。しかし結果は落選した。
選挙は競馬と違ってギャンブルではない。選挙の結果は一人一人の生活に直結するからだ。
現状は与党不利と報道されている。公示後の12日間。マニフェストの内容とともに、各党の“本気度”も問われてくる。
(平成21年8月12日付 夕刊フジより転載)