「総理になって何をする」が大切
人気投票でなく冷静に政策の比較を
注目のポスト小泉
小泉純一郎首相が辞める。
今年9月で自民党の総裁任期がきれるためだが、ご本人に続投の意思はまったくない。
国会は6月18日が会期末。残り3週間しかない中、医療制度改革や教育基本法といった「重要法案」が審議されているが、永田町の雰囲気は「ポスト小泉」に意識が移りつつある。
「麻垣康三」と呼ばれる「ポスト小泉」候補に対する論評も、新聞各紙をにぎわしている。
「連立を組む公明党としては誰が選ばれた方がいいですか」
記者からよくきかれる。公明党の執行部は、マスコミの騒ぎを横目で見ながら、「他党の総裁人事に口を出すつもりはない」と、一切、口をつぐんでいる。
公明党側から「○○がいい」などと発信すれば、自民党内から反発がでて、連立政権に亀裂が入りかねないというのが本音か。しかし、自民党総裁選とはいえ、選ばれた人が首相になるのは間違いない。連立のパートナーとしては他人事ではない。
来年は春に統一地方選、夏に参院選と、今後の政局を左右する政治決戦がある。わが党だけでなく、多くの自民党議員にとっても、誰が「選挙の顔」になるかは重要な問題だ。
一方、5年間の小泉政権の評価をどう判断するか。ポスト小泉の候補者はこれまでの小泉内閣の内政、外交を継続するのか、転換するのか。公明党的に言えば、「改革」の流れは継続。一方、東アジア外交は重視してもらいたいといった感じ。
ただ、一般の人たちからみれば、「私たちの生活が今後どうなっていくのか」といったことを明確に語り、実行してくれる人を望んでいるのではないか。
今のマスコミは誰が国民からの支持が高いか、低いかといった報道に偏りがちだが、要は「総理になって何をするか」という政策が最も大切。テレビのワイドショー的に人気投票のようになるのが心配だ。冷静に政策を比較する報道を期待したい。
まだまだ波乱含み
私が初当選した平成5年、細川護煕首相が誕生した。その年の夏の衆院選の直前まで細川首相を予想した人はほとんどいなかった。翌年の村山富一首相の「自社さ政権」も世間をあっといわせた。
そういえば5年前の総裁選。告示前に小泉首相圧勝を当てた人はどれくらいいたか。
「政界一寸先は闇」。まだ4カ月ある。一波乱、二波乱はあるかもしれない。
(平成18年5月30日付 夕刊フジより転載)