鳩山揺さぶる「3K」
国民の不信、不安増すばかり
鳩山内閣が「3K」で揺れている。「虚偽献金疑惑」「基地問題」「景気・経済」だ。
まず、鳩山首相の虚偽献金疑惑の額には驚く。報道によると、母親から毎月1500万円。5年間で9億円もの資金が提供されたという。庶民の生活感覚とケタが違う。
亡くなった人から寄付を受けたという「故人献金」が問題化。その資金は鳩山首相の個人資産から捻出されたとしていたが、ここにきて、母親からの資金提供ということが報じられている。
世の中は今、デフレと円高が直撃。ボーナスはカット。中にはボーナス自体がない人もいる。景気・雇用の問題は深刻さを増し、師走に入り、生活への不安は募っている。
ある週刊誌の見出しに「“脱税”首相夫妻は『外食&外遊』ザンマイ」と書かれていた。親から毎月1500万円を提供されている人が、庶民の生活不安について理解できるのだろうかと思ってしまう。
沖縄の米軍普天間基地の移設問題では5日付の朝刊は厳しかった。「普天間展望なき先送り」(日経)、「『首相指示』混乱に拍車」(毎日)、「普天間交渉『暗礁』次回日程決まらず」(産経)―。鳩山首相の優柔不断が日米関係だけでなく、沖縄県民の不安を増幅させている。
「経済」に目を転じると、菅副総理兼経済財政担当相がデフレ宣言したのが先月20日。ところが、政府はなかなか経済対策を打ち出さなかった。2週間が過ぎ、第2次補正予算に盛り込む追加経済対策を発表しようとした4日、国民新党と折り合いがつかず、迷走が続いた。デフレ宣言は何のためにしたのか。手の打ち方があまりにも遅い。
鳩山内閣の迷走劇をみると、リーマン・ショックの1年前を思い出す。当時の麻生内閣は「百年に一度」といわれた金融危機に、「解散」より「経済対策」を優先した。解散先送り直後、テレビ討論に出演したが、その控室で民主党議員が私にこう漏らした。
「解散が先送りされて良かった」
「あれぇ、民主党は解散したかったんじゃないの?」
思わず問い返すと、目が点になるような答えが返ってきた。
「小沢(当時代表)は金融が分からない。鳩山も菅も分からない。政権交代したら、日本が大変になる。ここは金融危機が落ち着いてから、政権交代した方がいい」
1年後の今、経済がどこに向かおうとしているか、多くの国民が不安を抱いている。
(平成21年12月9日付 夕刊フジより転載)