連載88 鳩山代表の「説明責任」を問う



 
鳩山代表の「説明責任」を問う
 
 
 
 
 
 
偽装献金疑惑、脱税の指摘もあるが
 
 「説明責任」とは一体、何だろう。
 
 永田町で“不祥事”が起こると、新聞紙面に説明責任の4文字が踊る。説明責任の訳の元となったのが「アカウンタビリティー」。元は会計学の用語だったと言われる。
 
 最近では政治家に疑惑が生じた際、有権者に対して自ら説明をし、理解を得ることとして使われている。民主党の鳩山由紀夫代表の“偽装献金”疑惑は、まさに「説明責任」を求められている案件ではないだろうか。
 
 一部マスコミの報道から始まったこの問題。鳩山代表の資金管理団体の政治資金収支報告書に、亡くなっていた人が個人献金者として記載されている―と指摘された。
 
 小沢一郎前代表の西松献金疑惑をきっかけに、民主党は企業・団体献金禁止の法案を国会に提出した。企業献金から個人献金にシフトしようという考えだった。しかし、政治資金の中心に据えようという個人献金について、代表の資金管理団体で問題が生じてしまったのは皮肉なものだ。亡くなった人からの献金で「故人献金」と揶揄されている。
 
 先月30日、鳩山代表が自ら記者会見。「故人献金」を認めるとともに、献金していない人の名義も使っていたことを明らかにした。2005年からの4年間で偽装記載は193件、2177万8000円にのぼった。ところが、「説明責任」を果たすかにみえた記者会見が、逆に“疑惑”が広がってしまったようだ。
 
 まず、4年分の収支報告書を修正したが、献金者として記載された88人の8割にあたる70人をそっくり削除した。これほどの修正は前例がなく残ったのは鳩山代表本人と母、姉、秘書とその家族などわずか18人となった。ところが、9日付の朝日新聞は政治資金収支報告書の修正で、献金記録を削除された複数の人が「私は献金している」と話していると報じた。
 
 元の収支報告書が“虚偽”記載。修正報告書も“虚偽”ということになれば、何が真実なのか。
 
 また、献金をすると、所得税が控除される制度がある。鳩山代表の団体は実際に献金していない人の分まで、控除を受けるための証明書を総務省に申請。寄付行為がないのに発行された控除証明書は05年からの3年で75人分。この証明書が確定申告に使われた場合は「脱税」にあたるとの指摘もある。
 「説明責任」が問われた小沢前代表。今また鳩山代表にも、同じ4文字が突きつけられている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成21年7月15日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日