連載48 今の政治は「テレポリティクス」


 
 
今の政治は「テレポリティクス」

 
 

 
 
みのさん驚異の体力
 
 先々週の金曜日の夜だった。知人と食事をしていると携帯電話が鳴った。TBS「みのもんたのサタデーずばッと」の女性ディレクターからの電話だった。
 
 「あのーっ、誠に突然で恐縮ですが…」。いつも明るい声のディレクターが、妙に声が沈んでいる。「無理は承知なんですけど、明日の番組に出演できないかと…」
 
 それまで「サタずば」には2週連続で、出演したのだが。
 
 「みのが“政治とカネ”の問題でぜひ高木さんにと言っているのですが」と、人の気持ちをくすぐるように話す。しかし、翌朝は日程が詰まっていたため、お断りをした。
 
 9月の終わりは、金曜の深夜にテレビ朝日の「朝まで生テレビ」に出演。その後TBSへ移動し、「サタずば」に出たことがあった。
 
 みのさんは「徹夜なんですよね」と紹介の時に語りかけてきた後、「政治家は体力が必要ですよね」。ギネスブックに載るくらい、毎日レギュラー番組をはしごしているみのさん。ある日の番組中のこと。スタジオでのトークが終わり、ビデオが流れた。ナレーターの声がスタジオに響く。茶の間の画面はビデオの映像が映っている。ところがスタジオのみのさんは、なんと、立ちながら眠っているではないか。
 
 政治家も体力勝負だが、みのさんにはどの政治家も負けるのでは…と思ってしまった。
 
 「テレポリティクス」という言葉がある。今、政治は新聞、雑誌などの活字以上にテレビの影響が大きい。象徴的なのは“小泉劇場”だった。「ワンフレーズポリティクス」ともいわれる短い言葉で言い切る小泉元首相。2年前の“郵政選挙”もまさにテレビが作り上げた選挙だった気がする。与党の一員として、私もその恩恵を受けた一人だった。
 
 
 
「丁寧さ」と「分かりやすさ」のはざまで
 
 テレビの影響を無視できない状況の中で、各党は有権者へのアピールを、いかにしていくか。悩ましいところだ。
 
 政党また政治家として、丁寧に説明責任を果たさないといけないと思う。しかし、テレビでは長々と話すことは難しい。特に討論番組では、1分程度で話をまとめなければならない。ある放送記者は
「20秒ですよ」という。
 
 分かりやすい話。今、永田町の政治家に求められていることではないか。
 
 
 
 
 
 
 
 

(平成19年10月23日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日