連載91 死票多い選挙制度の改革を



 
死票多い選挙制度の改革を
 
 
 
 
 
 
民意くみとるために

 
 政権交代の総選挙が終わった。
 
 明日(16日)召集される特別国会で、「鳩山首相」が指名される予定だ。
 
 私たち公明党は10年間の連立政権に終止符を打ち、下野することになった。同じく下野する自民党は、首相指名で誰の名前を書くかでもめていたが、若林両院議員総会長でまとまった。公明党は新たに選出された山口那津男代表の名前を書くことに。衆院議員になって何度も首相指名の本会議に出席しているが、実は公明党代表の名前を書くのは初めてだ。
 
 今から16年前の1993年夏。初当選して臨んだ特別国会の首相指名で「細川護熙」と書いた。本会議前の代議士会で「『熙』の字を間違わないように」と先輩議員が注意をしていたのを覚えている。
 
 翌年には細川内閣総辞職後、新生党の羽田孜党首と書いた。さらに自民を離党した海部俊樹元首相の名を書いた時は村山富市・社会党委員長に負け、自社さ政権が誕生した。その後、落選を経験し、2000年に再び国会に戻ると自・公(保)連立政権になっていた。それ以降、首相指名では森、小泉…麻生と自民党総裁の名前を書き続けた。下野したことで自らの党の代表名を書くのも少し複雑な思いがある。
 
 鳩山内閣も3党連立政権だ。90年代初めから“連立”の時代が続いている。16年前に導入された小選挙区制度。政権交代を可能にすることが「政治改革」と叫ばれ、5回目の選挙で政権交代が実現した。
 
 しかし、今回の総選挙の結果は民主308、自民119、公明21、共産9、社民7…となったが、得票数を見ると、その差は議席ほど離れていない。全国の比例代表の得票数(得票率)は、民主2984万(42%)、自民1881万(26%)、公明805万(11%)、共産494万(7%)、社民300万(4%)…。
 
 得票以上に議席の差が出てしまう小選挙区制度。しかも“死票”が多く、民意が反映しにくい。94年の政治改革法案を決着する時、民意を反映する比例代表の定数を200とした。その後20削減され今は180。
 
 民主党はマニフェストで比例代表80削減を掲げている。しかし、今回投票した7000万人のうち半分以上は「民主党以外」に投票している。
 
 価値観が多様化する中、国政に民意を幅広く反映できる選挙制度をもう一度考えてもいい時期ではないだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成21年9月16日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日