連載70 省庁タクシー券全廃の決断を


 
 
省庁タクシー券全廃の決断を
 
 

 
 
 
 「私としてもタクシーチケットの廃止を指示したところでございます。環境省はタクシーチケットを廃止します」
 
 公明党出身の斉藤鉄夫・環境相の声が衆議院第一委員室に響いた。6日に開かれた衆議院予算委員会。わが党の赤羽一嘉・衆院議員の質問での答弁だ。
 
 この日は補正予算の審議初日の委員会。テレビ中継も行われていた。しかし、その夜のテレビ・ニュースや翌日の新聞には、この場面はほとんど報道されなかった。
 
 通常国会が開かれていた6月。「居酒屋タクシー」が問題となった。霞ヶ関の官僚が公費のタクシー券を利用し、深夜帰宅する際、運転手から金品を受け取っていたという。
 
 そんな時、当時の冬柴国交相が本省の全職員約4000人を対象にタクシー券の使用禁止を発表した。それまでの同省の本省職員のチケット利用は1日約200件。年間で12億4000万円に上がっていた。
 
 先日の予算委で質問に立った赤羽議員は次のように語った。
 
 「私はタクシーを使うなとは申しませんが、今、民間企業でも社員が帰る時にタクシーに乗る場合はタクシーチケットを使っている企業なんてありません。かかった分は自ら立て替えで現金で払って、領収書もらって、翌日会社で申請して精算する。これは当たり前のことです」
 
 議員になる前、総合商社に勤務していただけあって、赤羽議員の指摘は説得力がある。
 
 さらに、「人間は不思議なもの。チケットがあると今日もタクシーで帰ろうというのが、チケットがないと、最終電車に間に合うように仕事の効率化を考える」と赤羽議員は続けた。
 
 実際にタクシー券廃止に踏み切った国交省は、6月23日からの1カ月間で、タクシー利用は600万円だった。その前の月は1億円かかっていたので、94%の削減になっている。
 
 全大臣に質問したかった赤羽議員だが、代表して斉藤環境相に答弁を求めた。国交省、環境省ともに公明党出身の大臣の決断でタクシー券全廃が断行された。2世議員が多いといわれる麻生内閣。ここは民間の感覚をしっかりと取り入れて、タクシー券全廃を決断してもらいたい。「2世議員でも大丈夫」といった政治を見せるチャンスでもある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成20年10月15日付 夕刊フジより転載)
 
 

2017年02月20日