「見直し」はパフォーマンス
与党議員の無責任
「いったい何やってんだ。自分の言動が恥しくないのか」。先週の18日の朝刊各紙の政治面を見て率直に思った。
75歳以上を対象とした後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について前日の17日、自民党内で議員連盟が発足。記事の見出しは「自民 反発に戸惑い・見直し検討の議連発足」(読売)。「高まる見直し機運」(産経)。
野党の議員が同制度を反対するのは理解できる。しかし、与党議員としてはいかがなものか。
今月1日から導入された同制度だが、高齢者への周知不足など混乱しているのは確かだ。
しかし、この制度導入を盛り込んだ「健康保険法改正案」は一昨年6月に成立。議連発足式に参加した約40人の自民党議員はこの改正案に賛成している。何も分からずに賛成したのなら、その無責任な態度は、有権者から反発を受ける。
後期高齢者医療制度に最初は「賛成」棚に上げ
立法府の議員として、法律・制度をつくるのが仕事。「説明できない」「分かりづらい」などと言う前に、まず自らが制度を理解し採決に臨むのが当然。国民に理解が深まっていなければ、説明責任は、賛成した与党の国会議員にある。
わが党は太田代表自らが現場をまわって、高齢者の側に立ったビラ作成にかかわった。さらに党の機関紙で何度も解説をし、公式HPでは、ウェブTV「お答えします」というコーナーで動画で説明までしている。
ある情報番組で、今回の制度では県によって保険料に差があるとキャスターが語っていた。するとゲストの学者が、これまでの制度は市町村単位のため、もっと保険料の格差があり、改正によってそれを縮めたと指摘。キャスターは批判したつもりだったが驚いた表情になった。つまり、全体像がわからないままの報道で、不安が増幅される構図。
そんな報道に影響を受けて、賛成したことを棚に上げて、「見直し」を叫ぶパフォーマンス。
もし本当に見直すべきと思うなら、なぜ賛成したかを説明し、まず、謝罪をしてから行動するべきだ。このままではマスコミ報道に揺れ動く“浮草”議員といわれかねない。
(平成20年4月23日付 夕刊フジより転載)