改造内閣は改革進め、ひずみ是正を
真価問われる秋の臨時国会
内閣改造から2日後の29日夜、NHKで「新閣僚に問う」という番組が放送された。
ちょうど自宅に帰った時だった。チラッとしか見なかったが、「改造前とだいぶ変ったな」という気がしたのは私だけだろうか。
出演者は増田総務相、町村外相、額賀財務相、舛添厚労相、冬柴国交相、高村防衛相、そして与謝野官房長官の7人。
増田、舛添の両氏以外は閣僚経験者。しかし、増田氏は前岩手県知事、舛添氏は自民党の前参院政審会長と両氏とも経験は豊かだ。7人の話にはまず落ち着きがあり、理路整然としており、何よりも安定感があった。
小泉政治で「ワンフレーズ・ポリティクス」がもてはやされ、劇場型の政治がテレビ・メディアを中心に展開されてきた。昨年秋にスタートした安倍内閣も、小泉路線を継承したものの、参院選では自らの内閣を構成する閣僚の不祥事など、“マイナス劇場”で自滅してしまった。
「たぶん視聴率は悪いだろうな」などと、7人の新閣僚の発言を聞きながら思った。小泉劇場に慣らされた視聴者からみれば、面白味に欠ける7人だ。
だが、今回の参院選で示された民意は何だったか。負担増や地域格差などの言葉に示されるように、「1人1人の生活をどうしてくれるんだ」といった有権者の声ではなかったか。
今回の内閣改造で、安倍首相は悩んだと思う。その上で重要閣僚に経験豊富な人を選んだ。振り返ってみると、前の内閣はパフォーマンスを意識しすぎた“軽さ”があったように思う。
改造後の各紙の世論調査は、参院選直後と比べ軒並み10ポイント前後アップしている。これが「ご祝儀相場」か「実力」か。秋の臨時国会で真価が問われる。自民党の選挙総括で「国民の意識とのズレ」が指摘された。公明党も22日の県代表協議会で「国民のニーズに合った改革、生活者重視の政策を進めなければならない」と太田代表が語った。
“改革”は進めていくが、“ひずみ”をどう直すか。セーフティーネットをどうするか。安倍改造内閣がその点をしっかりと手をつけないと、次の衆院選で与党は厳しい審判が待ち受けている。そして、公明党も与党として問われている。
(平成19年9月4日付 夕刊フジより転載)