連載136 平野国対委員長も認めた不完全な野田内閣


 
 
平野国対委員長も認めた不完全な野田内閣
 
 
 
 
 
 
 
 「今の内閣は不完全な状態で、十分な国会答弁ができない」
 
 臨時国会の会期をめぐって開かれた与野党の国対委員長会談の席上で、民主党の平野国対委員長が発言した。
 
 野田内閣がどのような政治を行なうか。臨時国会で所信表明演説を行ない、野党からの代表質問を受ける。さらに一問一答形式の予算委員会で議論を深める。「予算委を開け」という野党の要求に、平野国対委員長は〝正直〟に(?)冒頭の発言をした。
 
 内閣が発足して9日目にして、鉢呂経済産業相が辞任。「死の町」「放射能をうつしてやる」など、閣僚の前に人間としてとんでもない発言が辞任の引き金となった。
 
 野田首相は就任会見で、閣僚、党役員人事について質問され、「バランスを考えたことは事実ですが、基本的には適材適所なんです。適材適所」と発言。だが、原発所管の大臣として鉢呂氏が〝適材適所〟だったのか。
 
 鉢呂氏は「周辺市町村の市街地は人っ子一人いない〝死の町〟だった」と語ったが、住民に強制的に避難指示を出したのは、今の民主党政権ではないか。住民は離れたくて故郷から出たのではない。それを担当の大臣が、まるで他人事のように発言した。辞任は当然だが、平野国対委員長の「不完全内閣」が正しかったということになる。
 
 それ以外にも、わずかな期間で〝不完全〟な発言が閣僚から飛び出している。
 
 組閣の当日、「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と言った一川防衛相。今後の日本の防衛・安全保障を〝素人〟に任せて大丈夫かと思った国民も多かったのではないか。
 
 さらに小宮山厚労相の「たばこ700円」発言。安住財務相は小宮山発言について「個人的な見解。ご高説は承るが、所管は私だ」と不快感を表明。さらに「税という点でいうとタバコだけを抜き出して議論するのはバランスを欠く」と述べた。藤村官房長官も「個人的な思いを述べただけだと思う」と引き上げに慎重姿勢。ところが、小宮山氏は「個人的意見というより、厚労省を代表して述べた意見」と反論した。
 
 これまでも政府としての方針を決める前に、閣僚や党幹部が勝手に発言をして混乱した民主党政権の2年間。野田内閣になっても変っていない様子だ。
 とはいえ、日本の抱える課題は待ったなしだ。臨時国会は今日からスタート。震災復興・経済対策に必要な予算について既に公明党は提言している。野田内閣にはスピードが求められている。
 
 だが、〝不完全〟なままではまた、遅くなりそうだ。
 
 
 


 
 
(平成23年9月14日付 「夕刊フジ」より転載)



2017年02月20日