連載103 高校球児の懸命プレーから学ぶこと


 
 
高校球児の懸命プレーから学ぶこと
 
 
 
 
 
 
 プロ野球の開幕とともに、選抜高校野球が21日から始まった。
 
 3年前のこの欄でも書いたが、毎日新聞静岡支局の記者時代、“センバツ”の取材をした。第58回大会で東海地区代表の浜松商の担当記者として私も“甲子園の土”を踏んだ。
 
 当時のスクラップ・ブックを開いてみた。昭和61(1986)年3月31日付の毎日新聞静岡版。記事の頭に[甲子園で高木陽介記者]とクレジットが入っている。
 
 「全員野球で昨春のお返し」「眠れるPLに鮮やか“足攻”」「実った勝利への執着」との見出し。一回戦で強豪PL学園と対戦した浜松商が8―1で快勝した記事だ。実は前年の“センバツ”初戦でPL学園と対戦し、1―11で敗れていた。その時はK・Kコンビの清原、桑田がいて相手にならなかった。K・Kコンビが卒業したとはいえ、優勝候補のPL学園と2年連続で対戦となり、支局の同僚たちは初戦敗退を覚悟していた。担当記者の私も半ばあきらめかけていた。

 ところが、試合は見出しにあるように浜松商の快勝。取材後、原稿用紙に向かった私も興奮し、200行以上(当時の新聞は1行13字)の原稿を1時間くらいで書きあげたのを覚えている。(400字詰め原稿用紙で6枚以上)

 “センバツ”出場が決まってから1カ月半の取材で、勉強になることが多かった。当時ベンチに入れるのは15人。浜松商の部員32人のうち17人はスタンドからの応援だ。だが、陰になって支えるメンバーがいるからこそ、活躍できるナインがいた。高校生だが、レギュラーも裏方もお互いの存在を尊重していた。甲子園という目標に向かい、厳しい練習に耐える選手。スクラップ・ブックの記事は、そのことが所々に書かれていた。
 
 
党内でゴタゴタしてる場合か
 
 政治の世界ではお互いを尊重することが希薄だと感じてしまう昨今だ。
 与党・民主党では幹事長批判をした副幹事長が更迭され、混乱している。野党第一党の自民党も離党騒ぎや執行部刷新の声が大きくなっている。
 景気・経済の低迷や、沖縄の基地問題に象徴される外交・安全保障など課題山積の国政。党内でゴタゴタしている余裕は政治にはないはずだ。球児たちの懸命なプレーをみて、両党とも内外の課題に取り組む姿勢を学び直してもらいたいものだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(平成22年3月24日付 「夕刊フジ」より転載)
 
 

2017年02月20日