議員は脳年齢問う前に「社会人」「人格」「常識」
「大人のDS」もいいけれど
「アカ!」「アオ!」
自宅で妻と3人の子供たちが大きな声で叫んでいる。
「25歳!」。妻が満面の笑みを浮かべた。わが家で昨年の暮れからはやっているニンテンドーDS対応ソフトの「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。
女優の松嶋菜々子さんが「52歳」と認定されるCMでおなじみだ。今は「もっと脳を鍛える・・・」にバージョンアップして家族は楽しんでいる。
2つのソフトで250万本以上が出荷しているというミリオンセラー。
年をとると、脳の機能は低下する。記憶や想像をつかさどる脳の「前頭前野」を活性化させることによって脳を鍛えることができるという。東北大の脳科学者・川島隆太教授が監修を務めた上、ゲーム感覚で「脳年齢」が表示されることで、ゲームに疎かった大人が夢中になっている。
読者の皆さんで挑戦された人も多いのではないか。
「お父さんもやらない?」。小学2年の末っ子が何度も誘うが、「そんなもんやらない! お父さんは毎日、頭を使っているから脳は若い!」と言い返すことにしている。とはいえ、最近、物忘れが顕著になった気もする。本音は、もし実年齢の46歳を上回り、60代、70代となったら、父親の権威が崩れてしまうではないか…。
出処進退決められない 委員会審議より結婚報告
前回のコラム(3月7日付)で、国会議員の世代のことを書いた。メール問題で揺れた民主党は73歳の大ベテラン・渡部恒三氏を国対委員長に起用した。渡部国対委員長の会見を見ていると、計算しつくされたベテランの味わいがある。
衆議院議員479人(現在1人欠員)のうち、最年長は中山太郎議員(自民)の81歳。最年少は杉村太蔵議員(同)の26歳。その差は55歳になる。
国会議員全員が「大人のDS」を試したらどうだろうか。けっこう「大ベテラン」の議員の脳年齢が若く、「若手」の脳は高齢化なんて結果がでたりして…。
だが、自らの出処進退を決められない議員や、代議士として重要な仕事である衆院の委員会審議を抜け出し、結婚報告を首相にしにいく議員までいる今の国会。脳年齢云々の前に、「社会人年齢」「人格年齢」「常識年齢」を問う必要があるかもしれない。
(平成18年3月21日付 夕刊フジより転載)